沈没船でパーティーしよう

ひとりで生きて死にたい

読書の難しさ/電脳虚無/欲で読む漫画2022冬

仕事帰りに図書館に立ち寄ってみた。しかし、仕事帰りで疲れているため何も読む気がしなくて、三分の一ぐらいの棚をぼんやり眺めてそのまま何も借りずに帰宅した。読書が嫌いになったのではない。週末に職場の蔵書を借りて家で読んだりする時もある。図書館はタダで大量の本が読み放題で最高。ただ図書館というのはもっと、やる気に満ち溢れた休日の午前中とかに行った方がいいなと改めて確認した。

年々読書が難しくなっていく。子どもの頃は貪り喰うように読めていた本が大人になってからは全然読めない。水野しずさんがnoteで「本が読めないのは本を選ぶ段階で失敗しているのでは」という指摘をしていた。何も知らない子どもの頃と違ってある程度大人になると、知識や経験からフィルターがかかってしまい、純粋な「欲」で本を選ぶのが難しくなっているのを感じる。前述の記事から引用すると、『「こうでありたい自分」の演出効果に引っ張られてしまって思うように本が選べていない』。この100%「欲」で本を選ぶ行為は、自分の心に素直になる練習でもあるなと思った。引き続きやっていきたい。休日の午前中とか元気な時に。

https://note.com/320_42/n/nba90be317d60

 

YouTubeをザッピングして結局何も見ないで閉じる。Twitterのタイムラインを追う。インスタグラムのタイムラインを追う。またYouTubeを開いてザッピングして何も見ないで閉じる。この時間が一番虚無だなと思うけどついついやってしまう。スマホに毒された脳。別に虚無が悪いとも思わないのでそのままでいる。そのぐらい何も考えたくないし何もしたくない時間もある。毎秒充実させるなんて無理です。人生に訪れる虚無の瞬間を受け入れよう!

 

メイド諸君!」をKindleで初見一気読みした。かなり面白かった。オタクのダメなところやキモいところが全面的に出ていて味わい深くてすごく良かった。自己愛しか持ち合わせていない人間が過剰なまでの保身で暴走して人間関係をメチャクチャに破壊していく様はとても痛々しくて、この痛々しさを直球で描いてくれる作品って下手に甘くて幻想的な恋愛を描くよりもよっぽど優しくて嬉しかった。鳥取はどこまで行っても根本的に自分しか見えてなくて、最後までダメなままだったけど、「努力して成長して最後には幸せになりました」という展開に全てを押し込めるよりもよっぽどキャラクターに親身に寄り添っている。かなりステレオタイプな同性愛者のキャラクターが出てきたりもするけど、当時の世の中の女性同性愛に対する空気を振り返った上で今読むと、ステレオタイプステレオタイプなりに言いたいことがあるんだよという感情で私は好感を持った。今読んだらそりゃあ古いステレオタイプだけど、でもあの時は確かに『男のマネ』をしなきゃ愛されなかったのに、当時を生きるしかなかったキャラクターにそんなこと言うなよという気持ちになる。私には今の自分の価値観のみで蜂矢を悠々と突き放せない。調べたら最終話の初出は15年前だった。2022年の今初めて読む漫画として、はかなり「欲」に忠実なチョイスだ。私は前述の活字のみの本よりかは漫画を「欲」で読むことは得意な方かもしれない。