沈没船でパーティーしよう

ひとりで生きて死にたい

長風呂はレジスタンス

長風呂にハマっている。私は元々風呂が苦手でのぼせやすいので、人から見たら長風呂というほどの時間でもないが、今は風呂に閉じ籠ることに注力している。急かされないように同居人たちが全員入り終わってから、入浴剤と飲み物とお菓子とおもちゃを持ち込んで、とにかく気が済むまで風呂に閉じ籠る。風呂に入っている時は一人きりだ。私は美容のためでも健康のためでもなく、真に一人きりになるために風呂に閉じ籠っている。

私の人生は私のものであると自分自身に証明する活動をずっと続けている。誰にも侵襲されない安全な世界に閉じ籠って、生き延びるための、自分しかいない一人きりの時間を確保することに余念がない。それは時に長時間の睡眠であったり、時に自慰行為であったり、時に小説の執筆であったり、時に軽装での夜の散歩であったり、時にイヤホンで音楽を聴くことであったり、時に一人きりで喫茶店に駆け込むことであったりする。そして今は長風呂も。

生きていく上で社会と交わることは避けられないので、生きているだけで常に誰かにうっすらと侵襲されている感覚がある。元々の脳の特性的にも、過干渉な養育環境的にも、自他分離が苦手な傾向があるので余計にそう感じるのかもしれない。ただ私自身の問題だけではなく、実際に侵襲的な人間というのは世の中に大勢いる。これは侵襲者への抵抗である。侵襲者に心の秘匿領域を奪われないための、自分を守るための抵抗である。他人の気配がしない時間。自分以外誰もいない時間。誰にも侵せない時間。

 

今は個包装の使いきりタイプを使用しているが、今度の休みに大容量のボトルに入ったお気に入りの入浴剤と湯船で遊べるアヒルのおもちゃを買いに行こうと思う。